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  • 2020.07.26
  • 遺産相続でよくあるトラブルと解決策

トラブル

 

遺産相続は、トラブルになってしまうケースがあります。

ドラマで見るようなお金持ちの家族の話ではなく

遺産総額が数千万円の普通のご家庭でも起こりうることです。

 

平成27年度の最高裁判所における調査によると

遺産分割調停事件の件数は年々増加傾向にあり

そのうち75%以上が遺産総額5000万円以下の家庭で起こっています。

つまり実際には普通のご家庭の方がトラブルになるということです。

 

また、仲の良い家族であっても

手続きの途中で問題が発覚するケースもあります。

 

この記事では遺産相続でよくあるトラブルの例と

その解決策をお伝えしていきます。

 

”争族”になってしまうことを未然に防ぎ、

スムーズに手続きが進められるようにしましょう。

 

1.相続財産の内容が不透明

 

トラブルの中でも特に多い原因が相続財産がハッキリしていないことです。

どのような財産があるか把握できなければ相続できません。

 

財産内容がハッキリしていないと

もっと隠れていないかと探す手間ができてしまったり

同居人が使い込んだのではと疑われる恐れがあるなど

家族間で揉めるキッカケにもなってしまいます。

 

また、借金などの負の財産が発覚した場合、

残された家族に迷惑がかかる可能性があります。

相続放棄は相続発生を知った時から3ヶ月以内と決められているため、

放棄したくてもできない状況になる恐れもあります。

 

このような事態を防ぐには被相続人(亡くなる人)が

生前から財産目録を作成しておくのが有効です。

 

自分の財産は自分が一番良くご存知でしょうから

株や債券、宝石類などの隠していた財産や借金についても

財産目録には正直に記録しておくようにしましょう。

 

可能であれば「遺言書」も合わせて作成し、

遺産の分配方法についても明確にしておきましょう。

 

2.不動産のトラブル

 

土地や建物などの不動産は都合よく分けられず、

評価も難しいことからトラブルになりやすいです。

 

考えられる解決策としては

①不動産をそのまま分割する「現物分割」

 ⇒(例)A土地は長男、B土地は次男が取得した。

 

②不動産を売却してお金に換金してから分割する「換価分割」

 ⇒(例)A土地を売却して現金3000万円となったので、

 長男が1500万円、次男が1500万円を取得した。

 

③特定の相続人が、分けられない財産を全てまとめて取得し、

 その代わりに他の相続人に対して金銭を支払う「代償分割」

 ⇒(例)A土地もB土地も全て長男が取得した。不動産の価値は、

 合計で5000万円なので、長男が次男に対して代償金2500万円を現金で支払った。

 

④相続人同士で共有する「共有分割」

 ⇒(例)A土地について持分1/2長男、持分1/2次男とし、

 B土地も持分1/2長男、持分1/2次男として相続した。

 

などが考えられます。

 

被相続人は誰にどんな資産を託したいのか、

遺言書でしっかりと残しておきましょう。

 

3.遺言書のトラブル

 

遺言書の内容が偏っていたり、不備や曖昧な点が見つかったりすると

せっかく財産を記録してもトラブルになってしまう可能性があります。

 

たとえば兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という

最低限の相続分があります。この遺留分を損害するような

偏った遺言であった場合はトラブルになってしまいます。

 

遺言書は、様式が定められており、これが少しでも欠けると、

遺言書としては無効となります。

こうなると被相続人の意思通りに相続できなくなるので

残された家族が揉める原因になる可能性があります。

 

遺言書は決められた様式で厳密に記入し、

財産内容や分配方法を明確にしておきましょう。

より確実に記入したいのであれば司法書士などの

相続の専門家からレクチャーを受けることをおすすめします。

 

⇒必ず遺言書を作成しておきたい5つのケースとは?

 

4.家族に認知症の方がいる

 

高齢化が進む日本で増加傾向にあるケースです。

認知症の方でも財産をもらう権利はあるため、

周りで勝手に協議して決めることはできません。

 

相続人に認知症の方がいる場合は、成年後見制度を利用します。

相続人とならない親族などが選任されることが多いです。

一方、法的紛争が予想されるケースや、財産が多いケースなどは、

司法書士や弁護士などの専門家が後見人に選任されることもあります。

 

後見人の選任は、本人の住所地の家庭裁判所に申立てをして行います。

裁判所の手続きですので、ある程度時間がかかります。

事案によって異なりますが、後見人が業務を行えるようになるまで

2~3か月くらいかかるように思えます。

 

早めに準備をしておく必要があります。

⇒「認知症の方がいる場合の遺産相続・遺産分割協議について」

 

まとめ

 

トラブルの多くは、遺言書をしっかり作成しておくことで回避できます。

法的に有効で、かつ財産内容や分配方法が具体的な遺言書であれば

遺産相続もスムーズに進み、遺産が早く家族に渡されるようになります。

生前から家族とコミュニケーションを取っておくことも

遺産相続を円満に進めるには大切なことです。

 

遺言書の詳しい作成方法については

別の記事にまとめていますのでご覧ください。

 

相続手続きをより確実に進めたいのでしたら

相続に強い専門家に相談することをおすすめします。

当事務所は相談無料です。お気軽にご相談ください。