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  • 2020.06.11
  • 【ペットと相続について】飼い主が亡くなったらどうする?

ペット

 

現代の新たな問題の1つに、

「ペット」の問題があります。

 

・飼い主が亡くなったら、ペットはどうなるのか?

・残されるペットにどのような対策ができるのか?

 

ペットを大切な家族の一員と感じている方も多いでしょうから、

相続発生前後にできるペットの対応についてお話していきます。

 

ペットの法律上の扱いについて

 

日本の法律では、ペットは「モノ」として扱われます。

人以外の動物はすべて「モノ」です。

 

そのため他の財産と同様に

誰にどのように譲るか?を考えておき

入念に当事者間で話し合っておく必要があります。

 

モノ扱いなので、ペットには相続財産を残せない

 

アメリカでは、飼い犬に財産を相続させた例があるようですが、

日本では、ペットに対して遺産を相続させることはできません。

 

遺言書へ「ペットに相続させる」という内容を記載しても、

その遺言は法律上の効果を持ちません。

自分の口座にペット用の食費や病院代などを貯めていたとしても

相続発生時には、子、親、兄弟姉妹などの家族(法定相続人)に相続され、

遺産分割の対象となります。

 

ペットに直接財産を譲ることはできませんが

ペットを引き取ってくれる「人」に対しては

条件をつけて相続させたり、贈与することができます。

 

ペットを相続する方法

 

「ペットを育ててくれるなら財産を譲ります。」

 

上記のような条件で、

ペットの飼育を引き受けてくれる人に対して

財産を譲ることは可能です。

 

負担付贈与または負担付死因贈与を活用することで

安心してペットを託せるようになります。

 

・負担付遺贈

 

負担付遺贈は、ある条件を付けて

遺言で特定の人に財産を、一方的に譲り渡す行為です。

 

ペットを誰かに託したい場合は、

「ペットを育ててくれる人に、

飼育に必要な財産を譲ります。」

という旨を遺言書に書きます。

 

・誰に何を譲るのか

・どのように世話をするのか

・遺言執行者を誰にするのか

 

を明記しておくと良いでしょう。

 

遺言執行者を指定しておくことで

遺贈する財産の承継をスムーズに進めることができます。

 

ただし、負担付遺贈は、遺贈を受けた側(受贈者)に放棄されてしまうリスクがあります。

一方的に飼い主が押し付ける形となるため、事前に知らされていない場合は、

受贈者にとっては、寝耳に水です。

受贈者が、遺贈放棄をした場合は、ペットの世話を託すことはできません。

 

新しい飼い主としっかり話し合えるのであれば

次に紹介する「負担付死因贈与」の契約を結んでおくことが無難かもしれません。

 

・負担付死因贈与

 

負担付死因贈与は、贈与する人が亡くなった場合に、

ある条件で特定の人に財産を贈与するものです。

 

内容は負担付遺贈と似ていますが、大きく違うのは

負担付死因贈与は、前の飼い主と新しい飼い主で

双方の合意(契約)が必要であるという点です。

 

遺贈は、遺言によって、遺産を、ある人にプレゼントするという

一方通行の行為(単独行為)です。

他方、贈与は、当事者間の合意に基づく契約行為であるということです。

 

前の飼い主と新しい飼い主との間で決める契約ですので、

合意が成立しているなら新しい飼い主に拒否される心配はありません。

 

お互いの合意があれば口頭でも一応契約にはなりますが、

口約束では「言った言わない」で揉める原因にもなりますから

確実に引き受けてもらいたいなら書面で契約しましょう。

 

贈与契約書では負担付遺贈の場合と同様に

 

・誰に何を贈与するのか

・どのように飼育するのか

 

これらを具体的に書いておきます。

また、自身の死後に贈与がきちんと行われるか心配であれば、

死因贈与執行者を決めて、財産の承継を託すこともできます。

 

ペットのための信託を利用する

 

近年注目されている民事信託の一種です。

いろいろなスキームが考えられますが、事例をひとつ上げてみます。

 

現在の飼い主が委託者となり、ペットの世話のための資金を、
受託者(信頼できる家族や信託会社等)へ預けます。
受託者から新たな飼い主や飼育業者(受益者)へ、
ペットを世話するための資金を定期的に交付するという信託契約を構築します。

 

自身の死後、新しい飼い主が、変わらずペットの面倒を見てくれるでしょうか。

贈与でお金をもらったら、ペットのことは知らんぷりということも考えられます。

自分の死後に備え、ペットのためにと準備した資金が、適切に管理されるのかは、未知数です。

 

そこで、お金の管理を、信頼できる人や機関、専門家(受託者)に任せ、
定期的に新しい飼い主(受益者)へお金を交付することで、
横領を防止し、定期的に見守るスキームを構築したのが、
この民事信託契約(ペットのための信託)です。

 

信託の場合は飼い主の死後だけではなく

病気(認知症や身体の障害等)などでペットの飼育が困難になった場合にも

備えることができる仕組みです。

 

ところで、民事信託の手続きは、金融機関、税務署等、

まだまだ事例の蓄積が不十分な制度です。

また、信託を利用するという考えは、比較的新しいものなので

対応できる専門家も多くはありません。

 

専門家が少なく、特殊な契約であるため、

そのスキームを構築するための契約書作成費用等も高額になりがちです。

 

ペットのための信託に関する相談を受け付けている

NPO法人がありますので相談してみると良いでしょう。

新たな飼い主(引き取り手)がいる場合、いない場合、

双方のケースに異なるスキームで対応していただける機関もあるようです。

 

老犬・老猫ホームを利用する

 

老人ホームのペット版で、

飼い主が何らかの事情で飼育ができなくなった場合に

犬や猫を飼育してくれる施設です。

 

最近はペットの寿命も延びてきているため

寝たきりになったり、認知機能が衰えたりして

普通の人には面倒を見きれなくなるケースも増えています。

 

こちらはペットの状況によるものでもあるので

飼い主が健康であっても利用できます。

 

ただし、ある程度費用がかかってしまいますので

資金に余裕がある方は検討してみてもいいでしょう。

 

まずは動物病院や動物愛護団体などに相談を。

 

犬や猫以外の鳥や爬虫類など

特殊なペットを飼育している場合は

動物保護や生態系保護の観点で扱いが難しい可能性があります。

 

また犬や猫でも飼っている頭数が多い場合でも

上で紹介した方法だけでは不十分と思われます。

 

「うちのペットはどうしたらいいの?」

とお困りの方は動物病院や動物愛護団体など

動物に関するプロに相談するようにしましょう。

 

まとめ

 

「もしも」の時があった場合の

ペットへの対応の仕方について紹介しました。

 

ペットに関する詳しい対応方法については

動物に詳しい専門家に相談することをオススメします。

具体的な行動方針が決まった後で

必要であれば相続の専門家にご相談ください。