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  • 2020.09.10
  • 相続手続きの基本 戸籍謄本の取得方法について

戸籍

 

相続の際に必要となる書類の1つが戸籍謄本です。

 

「役所に行けばもらえますよね?」

と言われれば確かにそうなのですが

実は戸籍には種類があります。

意外と混同される方が多いのです。

 

ここでは戸籍の種類と

相続手続きで必要な戸籍謄本、

そしてどこで必要になるのかを

詳しく解説していきます。

 

1.そもそも戸籍とは何でしょうか。

 

日本国籍を所持しているもの(日本の国民といえばわかりやすいかもしれません)の

親族的な身分関係を登録し、これを証明する制度です。

 

現在の戸籍制度では、「夫婦及びこれと氏を同じくする子」ごとに、

戸籍が編成されています。

 

平たく言うと、「夫婦のみ」又は「親と子供」ごとに編成されます。

いわゆる「核家族」ごとに編成されていると考えるとわかりやすいかもしれません。

 

2.戸籍は、主に3種類。

 

現在戸籍

 

一般的に「戸籍」というと、これを意味することが多いと思われます。

 

現在戸籍は、証明の範囲によって2種類に分けられます。

 

  1. 全部事項証明書(戸籍謄本)→ある戸籍内に記載された家族全員の情報が記載されている証明書です。
  2. 一部事項証明書(戸籍抄本)→ある戸籍内に記載された、特定の人についての情報のみが記載されている証明書です。

 

「戸籍謄本」とは、現在では、正確には「戸籍全部事項証明書」を指します。

元々は紙で管理されていた帳簿をコピーして渡していました

(謄本とはコピーのことです。)。

 

近年、コンピューター化が進み、データ管理されるようになったため、

該当事項を打ち出したものを証明書として発行する形式となりました。

呼称が変わったのは、このことが背景にあるといえるでしょう。

 

除籍全部(一部)事項証明書(除籍謄本)

 

あまり聞き慣れないかもしれませんが、除籍謄本は

「離婚や転籍、死亡等の理由で、在籍者が誰もいなくなった戸籍」を指します。

 

在籍者がいなくなったとしても、以前の身分事項に関する履歴は残されていますので、

過去の身分関係の変動を証明する重要な証明書であると言えます。

保管期間によっては廃棄されているものもありますが、

明治時代くらいまでは遡って取得できるケースがほとんどです。

 

相続手続きでは

「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本」が求められますが、

この場合、戸籍謄本と除籍謄本の2種類が必要になるケースがほとんどであると言えます。

 

改製原戸籍

 

専門家や役所の方々の間では「ハラコセキ」などと呼ばれています。

法改正される前の古い様式で編成された戸籍のことです。

 

1994年(平成6年)に戸籍法が改正され、コンピューターによる管理が可能になりました。

そのため自治体が作り直した新しい戸籍が現在の戸籍で、

それ以前の戸籍は改製原戸籍と呼ばれます。

 

特徴として、原戸籍は「縦書き」で、現在戸籍は「横書き」です。

原戸籍は特定の用紙にタイプ(又は手書き)されている体裁ですが、

現在戸籍は明らかにデータを打ち出している書式となっています。

 

記載様式が異なりますが、法律の要請で編成替え(改製)を行っただけですので、

改製の前後を通じて戸籍にかかれた身分事項の証明書として機能します。

 

相続では亡くなった人の一生分の戸籍が必要となるため、

現在の戸籍と改製前の戸籍を取る必要があります。

 

3.相続手続きに必要な戸籍謄本

 

相続手続きに必要な戸籍謄本は

・被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本

・相続人全員の現在の戸籍謄本

この2種類です。

 

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本は

除籍謄本と改製原戸籍も含めて、すべて繋げて収集しなければなりません。

 

また代襲相続や兄弟姉妹が相続人になる場合は、

被相続人の両親の戸籍を集める必要が出てくるなど、

さらに多くの戸籍謄本が必要となってきます。

 

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めると

万が一、隠し子や養子がいた場合でも明らかになります。

思わぬ人が相続人になっているケースも、実際にありますので、

相続が起きた場合は、最初に戸籍集めに着手することをお勧めいたします。

 

4.戸籍謄本の提出が必要な相続手続き

 

戸籍謄本が必要となる相続手続きには、以下のようなものがあります。

相続に関連する手続きには、ほぼ戸籍謄本一式が必要であるとの認識でよいかと思います。

 

・相続税の申告

・不動産の相続登記

・預貯金、証券口座等の名義変更

・相続放棄

・限定承認

・自動車の移転登録

 

相続税申告については

「相続発生から10日後以降に作成されたもの」

を取得する必要があります。

 

また、相続放棄手続きは相続開始を知ってから3ヶ月以内、

相続税申告は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内と期限があるため、

なるべく早く取得しましょう。

 

毎回、大量の戸籍を各窓口に提出するのが煩わしいということもあろうかと思います。

法定相続情報一覧図を提出することで、大量の戸籍を提示することに代えられる場合がありますので

ご参考になさってください。 →法定相続情報一覧図について

 

5.戸籍謄本はどこで、誰が取り寄せられる?

 

戸籍謄本は本籍地の市町村役場で取得できます。

窓口に直接出向いても取得できますし、郵送請求も可能です。

自治体によってはコンビニでも取得できるところもあります。

 

本籍地と現住所は異なることが多いので早めに確認しておきましょう。

本籍地がわからない場合は本籍地が記載されている住民票を取得して確認しましょう。

 

戸籍謄本を取得できるのは原則として

その戸籍に記載されている人とその配偶者、

直系親族(祖父母、父母、子、孫など)です。

 

弁護士、司法書士や行政書士等に任せる場合は

委任状を作成してお願いすることになります。

特定の士業は、「職務上請求書」という特別な申請書を所持しています。

これを用いて、依頼内容に関連する戸籍や住民票を、職権で取得することができます。

 

専門家に依頼する場合、別途費用が発生しますが

書類の不備を防止でき、収集に追われる苦労から解放されます。

平日の日中に役場に行くのが難しい場合なども

専門家に依頼してしまった方が楽です。

 

相続に必要な書類は戸籍謄本だけではありませんから

それらも漏れなくスピーディーに収集したいのでしたら

相続に強い専門家にお任せすることをオススメします。