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  • 2020.04.25
  • 相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

説明図と一覧図

 

今回は、混同しがちな相続関係説明図と法定相続情報一覧図について、
それぞれ説明していきたいと思います。

 

1.相続関係説明図とは何か?

 

・相続人をひと目で分かるようにする図。

 

簡単に説明すると、いわゆる家系図のようなものです。

「相続関係説明図」とは、被相続人と相続人の関係性を分かりやすく図式化したものです。

 

戸籍謄本などの書類でも関係性の確認をしますが、
これだとかなり複雑なため、図にして誰が相続人かをひと目で分かるように表しています。


戸籍(特に明治・大正時代のもの)は、ミミズが這うような手書きで作成されていたり、
転籍があると途切れて、新たな書面に飛んでいたりと、ぱっと見では全く理解できません。


ですので、このような図面を作成し、理解しやすいようにしているということです。

 

弊社でサンプルを用意していますのでご参考に。

→相続関係説明図(弊社サンプル)

 

・相続関係説明図を作成する目的


一番の目的は、


◾被相続人と相続人の関係を分かりやすくするため

◾戸籍謄本の原本を返還してもらうため


です。

 

相続関係説明図は、不動産の名義変更・銀行口座解約・相続税申告など、
相続に関連する諸手続きの際に、戸籍や住民票と併せて
提出が求められることが一般的です。

 

2.法定相続情報一覧図とは何か

 

こちらは2017年(平成29年)5月からスタートした、比較的若い制度です。
上記、相続関係説明図について、法務局がお墨付き(証明)をあたえてくれるものです。

 

以前は、金融機関や税務署などに、毎回戸籍の原本を提出してきました。
戸籍は、ひと通り集めるのに数千~数万円の手数料がかかります。
多くの市役所・区役所・町役場等に戸籍を請求すると手間も時間もかかります。


ワンセットそろえて、それをA銀行に提出し、
これが終わったらB銀行へ、次はC証券会社…

というような、順番で手続きしていくことが一般的でした。


また、金融機関への説明が足りず、
誤って原本が徴収されてしまうということがあると、
また再度集めて…

ということもありました。


とにかく、順次手続するので、時間がかかって仕方ありませんでした。


このような不便を解消するために、法定相続情報一覧図の制度が生まれました。

ワンセット戸籍をそろえ、法務局に対して
「相続関係を証明してください。」と申請書を提出します。

そうすると、相続関係説明図(正確には少し書式が違いますが)に対して、
法務局が「相続関係に間違いない」という証明をしてくれるのです。

いちいち、金融機関などに対して、戸籍や住民票を大量に提出しなくても、
A4用紙1~2枚程度の証明書で、事足りるようになったのです。


現在、多くの金融機関・証券会社及び税務署において、
この証明書をもって戸籍・住民票に代えることができるようになっています。

 

3.相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

 

大きな違いとなるのは、証明力です。

 

極端に言えば、相続関係説明図は一般人が作るメモ書きのようなものですが、
法定相続情報一覧図は、法務局がその内容を証明した「公文書」なのです。


戸籍・住民票の代替として機能します。

 

4.法定相続情報一覧図は必要か?

 

ここまで読んでいただくと、
「法定相続情報一覧図を作成しなくては!!」と思ってしまいがちです。

相続が生じたら、必ず作成すべきなのでしょうか?

 

これは、ケースバイケースで判断することだと思います。

 

「すでに父が他界していて、母が死んで、相続人は私だけです。
財産も預金が100万円くらいしかないです」
といったような事例もあります。


このようにシンプルな相続関係の場合についてまで、
法定相続情報一覧図の作成が必要かといわれると、すこし疑問が生じます。


相続手続き先が少ない場合や、相続関係がシンプルなケースの場合は、
戸籍謄本と「相続関係説明図」を提出するほうが
時間も短縮できスムーズに手続きが運ぶといえます。


この点、専門家にご相談いただくと、話が早いように思います。

 

まとめ

今回は、相続関係説明図と法定相続情報一覧図について書いてみました。
二つの書面を混同してしまっている方もいらっしゃるかと思います。

それぞれ、似通っていますが、異なる書面です。


ひとつ言える共通項は、これらの書類を作成するには、
いずれにせよ戸籍・住民票の収集が必要であるということです。

戸籍等の収集や、相続関係説明図の作成(または法定相続情報一覧図の作成)は、
思いのほか時間と知識が必要です。

ですので、専門家に依頼することをお勧めします。

 

我田引水ということもないのですが、
特に法定相続情報一覧図の作成・申請は、
司法書士に依頼するのがよいのではないかと考えます(※)。


司法書士は、登記申請や登記事項証明書の取得のため、
普段から法務局とやり取りをしています。
また、相続登記(相続による土地建物の名義変更)を通じて、
戸籍・住民票等の収集にも長けています。

業種的にも、比較的リーズナブルな価格設定をしている傾向にあるように思います。


弊社も、普段ご協力いただいている税理士や弁護士の先生方から、
「自身のクライアントについて法定相続情報一覧図を作成してほしい」
という依頼をいただくケースも多いです。

 

ご検討の一助となれば幸いです。

 

(※)法定相続情報一覧図を、国民一般に利用しやすくするという趣旨から、
制度設計として、幅広い士業者が相談にのり、申請できるように法律で定められています。

弁護士・司法書士・行政書士・税理士・土地家屋調査士
社会保険労務士・弁理士・海事代理士など、

名前を聞いたことがあるような、ほとんどの士業者が業務として取り扱えます。
すでにご相談ただいている専門家がいれば、その方に依頼することができますので、
覚えておくとよいでしょう。