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  • 2020.02.06
  • 相続時精算課税制度って何?誰が得をするの?

相続

 

「相続時精算課税制度」をご存知ですか?

難しそうな名前ですが、この制度を利用することで、

60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫に贈与する際、

2,500万円までなら一時的に無税で財産を贈与できます。

 

通常の贈与の場合、年間110万円までしか非課税になりませんから、

一見すると非常にお得に見える制度です。

 

ただし、「相続時精算」と付いている通り、

相続が発生したら課税対象となるため、

あくまで先延ばしする制度だと思ってください。

 

この制度を利用して得をする人は限られてくるので、

メリット・デメリットをしっかり理解して判断しましょう。

 

相続時精算課税制度を利用するメリット


 

1.2,500万円まで無税で贈与できる

 

これが一番のメリットです。

2,500万円を超えると一律で20%の贈与税が発生しますが、

2,500万円までは無税で贈与できます。

 

ただし、相続時には相続税が発生する場合があります。

 

2.値上がりが見込める財産を贈与したら節税効果が期待できる

 

相続時精算課税制度を利用すると、

贈与した時点の時価で持ち戻すことができます。

 

たとえば贈与時には1,000万円だった有価証券が

相続時には1,500万円になっていたとしても、

1,000万円で評価されることになります。

 

中小企業の事業承継の際に節税対策として

利用されるケースがあります。

 

3.収益物件を贈与すると相続税を対策になる

 

2と同様の理由で、贈与後の収益に関しては

受け取った人のものとなるため相続税を節税できます。

親の所得が高い場合、子に所得移転することで所得税対策になる場合があります。

 

相続時精算課税制度のデメリット


 

1.あくまで一時的に無税になるだけ

 

この制度そのもののデメリットというより、

制度をよく理解せずに利用してしまった場合に

感じてしまいかねないデメリットです。

 

あくまで今は課税されないだけで、

相続が発生した場合には課税される場合があります。

 

2.暦年贈与が使えなくなる

 

この制度を利用すると年間110万が非課税になる

暦年贈与ができなくなります。

 

相続時精算課税制度を利用した場合、

年間の贈与額が110万円以下だったとしても

以後、相続時精算課税制度の枠内で考えていく必要が出てきます。

 

贈与財産の合計が2,500万円に達するまでは

相続時精算課税制度が適用されるので相続税として算入します。

2,500万円を超えた分は贈与税が課税されることになります。

 

3.贈与した年には税務署に申告する必要がある

 

相続時精算課税制度を利用する場合は

必ず税務署に申告手続きをする必要があります。

申告の手間がかかるということです。

 

4.適用後の撤回は不可

 

相続時精算課税制度を利用する届け出を提出したら、

撤回することはできません。

「やっぱりやめた!」は不可能ということです。

よく検討してから手続きしましょう。

 

相続時精算課税制度を利用して得をする人


 

1.財産が相続税の基礎控除額よりも少ない人

 

相続税は一定の金額以上の財産を残した場合に課せられる税金です。

そのボーダーラインとなる基礎控除額が決められています。

 

3,000万円+(相続人の人数600万円)=基礎控除額

 

この基礎控除額よりも財産が少ない場合は、

相続が発生した場合でも相続税はかかりませんから、

この制度を利用して贈与しておけば贈与税もかかりません。

 

2.値上がりしそうな財産、収益財産を持っている人

 

値上がりが期待できる有価証券や不動産などを所有している場合、

早めに贈与しておくことで節税対策になります。

 

3.2,500万円以下の財産をあげたい人

 

何の特例も出さずに2,500万円を贈与してしまうと

1,000万円ほどの贈与税がかかってしまいます。

 

開業資金などで多額のお金を渡したいときにも、

この制度を利用することで無税で贈与できます。

 

まとめ


 

相続時精算課税制度のメリット・デメリットを

ご理解いただけたでしょうか?

 

特に相続税の心配がない人や、

110万円以上の贈与をしたい人にとっては

非常に有効な制度です。

 

この制度で得をする人は限られていますが、

上手に利用することで節税対策にもなります。

 

相続税の専門家は税理士です。

 

詳しくは税理士など相続のプロに相談して

利用するかどうか検討してください。

当事務所で連携している税理士もご紹介できるので是非お問い合わせください。